ChatGPTに社内資料を入れるだけでは、何が足りないのか
社内資料を生成AIに渡すだけでは、どの資料が今の前提か、同じ案件の情報がどれか、過去にどの条件で何を判断したかが補えません。足りない構造と整え方を説明します。
直接の回答
資料を渡せば、生成AIはその文面を手がかりに答えを組み立てられます。ただ、どの資料がいつ時点の正しい情報か、どの記述が同じ案件や取引先を指すか、過去にどの条件で何を判断したかは、資料の中に書かれていないことが多く、AIには補えません。足りないのは資料の量ではなく、対象・出典・時点・関係と判断の履歴を整えた土台です。
なぜ、資料を渡すだけでは足りないのか
社内資料は、作られた目的も時点もばらばらです。改訂前の見積書と改訂後の仕様書が並んでいても、どちらが今の前提かは、文書を読んだだけでは決まりません。
同じ取引先や案件が、資料ごとに別の呼び方で書かれていることもあります。呼び方が違えば、生成AIはそれらを同じ対象の情報として扱えません。
判断の理由は、資料そのものより、承認や確認のやり取りの中に残っていることが多くあります。資料だけを渡しても、その理由は参照されません。
資料を渡すだけで足りる場合、足りない場合
文章の下書きや要約のように、渡した資料の文面だけで完結する用途なら、資料を渡す方法でも十分に役立ちます。
足りなくなるのは、会社の現状や過去の判断を踏まえた答えが必要なときです。どの情報を正しい前提とするかを、使う側が毎回確かめ直すことになります。
業務での例
以下は説明用の例です。特定のお客様の事例や、効果の数値ではありません。
ある部品の見積を依頼された担当者が、過去の見積書と仕様書を生成AIに渡し、今回の単価の目安を尋ねたとします。
AIはもっともらしい単価を返します。しかし、その見積書が値上げ前のものか、特急対応の割増が入った例外か、は資料からは分かりません。担当者は結局、別の資料や過去のメールを探して確かめ直すことになります。
整理すべき構造
資料を増やす前に、次の 5 つを判断に使える形で揃えます。
- 対象:どの案件・取引先・部品についての情報か
- 出典:どの資料・どのシステムから来た情報か
- 時点:いつの時点で有効な情報か(改訂の前後を含む)
- 関係:同じ対象を指す情報どうし、前後の版のつながり
- 判断の履歴:どの条件で何を選び、何を確かめたか
AlcheLivrA / MDF での扱い
AlcheLivrA では、この土台を共通基盤 MDF が担います。MDF は、業務の記録・資料・相談の履歴などを、出典・意味・履歴とともに整理し、次の判断で使える状態にする共通基盤です。社内外のツールや SaaS との連携は、導入先の環境に合わせて拡張していくことを想定しています。
整えた情報は、機械が読める形だけでなく、人が確認し更新できる形で残します。過去の条件と理由を次の相談で参照できるようにするためです。BizPrep は、MDF が整えた情報を経営や案件の判断に使います。
資料の一部を探して生成AIに渡す仕組みも役に立ちますが、何を正しい前提とするかを決めるのは、この整理の段階です。